"Alle Menschen werden Brüder‥‥"
Deutsche Kriegesgefangene in Japan 1914 - 1920
― 2014年 8月22日〜9月5日 ベルリンの独日協会にて ―
篠田和絵
 
 
 第一次世界大戦開戦100周年にあたる今日、ベルリン独日センターでチンタオ独日戦に関するイベントが10日間の日程で開催されました。好奇心にまかせ、私はベルリン見たさもあってイベント会場に行ってまいりました。
 「チンタオ・ドイツ兵俘虜展in Berlin」のご報告をいたします。
 しかし私はドイツ語がさっぱりわかりません、さらに言い訳になりますが困ったことに私の席は招待席になっておりました。それにドイツ語と日本語を行ったり来たりと通訳役でずーと私を助けてくださるRyuko Woigardtさんの黒いロングドレスをお借りし、ちょっぴり気取ってまいりましたので、席を立ってカメラを持って走る廻ることはさすがにしづらく、まともなリポートはできませんでした。お許しください。
 
 独日センター(協会)は最寄りの駅のすぐそばにあり、緑に囲まれた中にある瀟洒な建物です。
 表扉を開けると、中庭が見え、それを取り巻く回廊の壁面にまず当時のチンタオ戦における俘虜時代の写真が所せましと飾られています。それらは解説付きで、熱心に読み入る方がたくさんいらっしゃいました。初めて見る写真もあったかと思います。ケースの中には 資料とともに日本女性を漆で描いた立派な表紙の俘虜アルバムがありました。のちに見るドキュメンタリー映画の中でSchmidt氏が見ていたもののようです。私の恩人のような方、今回の展示会の進行に大きな役割を果たしたSchmidt さんはすぐに見つかりました。4年ぶりの再会で、ハグ、ハグ、握手!
 イベントのプログラムは、下記の特別催しと催し以外の日は館内見学のみで行われました。
【写真】展示物:
http://koki.o.oo7.jp/Ausstellung.jpg
【写真】会場の様子1:
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【写真】会場の様子2:
http://koki.o.oo7.jp/im_Saal2.jpg
 
 
☆8月22日 18:30  挨拶及び講演 日本と第一次世界大戦
 
1.館長Kurt Görgerさんの開催の挨拶とスピーチ
 
2.日本大使館大使代理挨拶
 
3.亀井鳴門元市長のスピーチ
鳴門ドイツ俘虜収容所発祥第九合唱団の現在に至るまでの活躍と
リュネブルク市との交流について
【写真】元鳴門市長亀井氏:
http://koki.o.oo7.jp/ehem._Naruto_Buergermeister_Kamei.jpg
 
4.Dr. habil. Gerhard Krebs の講演  
第一次世界大戦とは何だったのか
 
 私が理解できたのは日本語でお話された亀井氏の今も歌いつがれる第九への思い入れについてのお話でした。亀井氏ご自身、歌うことが大好きであり、現在も合唱団員現役で活躍中とのことでした。
 
 Dr. Krebsの講演はRyuko Woigardtさんの解説によると、第一次世界大戦はそもそもどんな戦争であったかという話で、ヨーロッパを視野にドイツを理解するためにはとても良いお話だったとのことでした。それはそうと『ロースハムの誕生 ― アウグスト・ローマイヤー物語』を書いた村木眞寿美さんも大使夫人とともにいらっしゃっていまして、Krebs 博士のお話を是非とも聞きたくてとおっしゃっていました。
 プログラム終了後は飲み物と皆様のにぎやかな歓談になりました。
 
 もともとこの催しの企画を準備していた中心人物でいらっしゃった、丸亀にも調査に来られたことのあるHans-Konrad Rode氏が成就半ばにして7月の末に急死されるという出来事がありました。そのRode氏の奥様が見学や歓談の中に積極的に入られて皆様とお話されていましたが、折に目を拭く姿を垣間見たときは、胸を打たれる思いがしました。
この日の入場者は150人とのことです。
【写真】会場入口近くにローデさんの写真:
http://koki.o.oo7.jp/Foto_von_Rode.jpg
【写真】ローデさんの奥さんのブリギッテさん:
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☆8月26日 18:30 "Freinde | Brüder"  Dokumentarfilm 上映
 
【写真】映画『敵が友になる時』の上映開始前:
http://koki.o.oo7.jp/bei_der_Filmvorfuehrung.jpg
【写真】『敵が友になる時』についてのディスカッション:
http://koki.o.oo7.jp/Podiumsdiskussion.jpg
 
 Brigitte Krause 監督の『敵が友になる時』上映
 上映後、Schmidt氏司会でBrigitte Krause、Kazue Shinoda、RyukoWoigardtの3人が壇上にて、ディスカッションということで‥‥。観客からの監督と出演者の篠田和絵に質問があり、Krauseさんはその制作意図を、私はその事情をさらに話すなどして質問にお答えしました。人様の前で話したことのない私の出演は、興ざめな空気を作ったのではないかととても心配です。
 そうそう、日本語の字幕付のバージョンができました。Krauseさんが当日お持ちになって私はそれを日本に持ち帰りました。早速見ました。これはすごいです。Schmidtさんのセリフの大切さに気が付いたのも日本語版のおかげです。日本の公開が期待されます。
 私が場面に登場したことが恥ずかしくて、この映画を見ることに気がひけてなりませんでしたが、日本語版を見た時は、そんな気持ちは吹っ飛んでしまいました。ドイツ語のわかる方々の前で何をいまさらと言われると思いますが、「実によくできた映画」でしたこれは!
 
 俘虜マガジンに最近登場したことのあるドイツで活躍中のノンフィクション作家クライン孝子さんが会場で、この映画を日本で是非上映しなきゃ!と盛んにおっしゃっていました。できるといいなと思いました。
 
 
☆9月2日 18:30 
 "Das Schcksal japnischer Internierter im 1. Weltkrieg in Deutscland"
 奈良岡聰智教授の講演
 
 これは私が日本に帰る日でしたので参加はできませんでした。興味深いタイトルに思えますがリポートはございません。
 
 
☆9月5日 18:30 Ode an die Freude (バルトの楽園) 上映
 
 イベント最終日 バルトの楽園の上映  (私は盛況を信じ東京に在)
 実は私は8月30日、別の場所、デュッセルドルフの日本人会・および竹の会主催の催しに参加させていただきました。ここでは斉藤陽子さんという在住歴40年の方がデュッセルドルフ在住の日本女性の親睦に力をいれており、(Ryuko Wirgardtさんはその準会員)8月の企画はベルリンの100年記念イベントにちなんで『バルトの楽園』と『敵が友となる時』の映画上映と講演です。
 最初にRyukoさんが第一次世界大戦のあらましの話をしまして、『敵が友となる時』の音を小さくしてバックに流し、求められるままに私は身の上話をしました。チンタオ戦から始まって、文化を日本に残したドイツ俘虜のことが少しでもわかっていただければと思いつつ‥‥。
 
 それが終わると『バルトの楽園』の上映です。私は3回目ですが、何度見てもよくできていると思います。娯楽映画にしたことは大勢の人に伝えるためには良策であったのではと初めてデュッセルドルフで感じたことでした。
 同じテーマでドキュメント映画と娯楽映画が世の中に存在することはまれにみる良いことではないでしょうか。
 私の役目はこの日で終わりました。日が経つにつれ、ドイツへの思いが強くなります。
 
以上