87. 三木先生との思いで
 
坂詰 喜三郎
 
 私、坂詰と申します。この欄をおかりして、門下生の皆様に不義理をいたしておりますことをお詫び申し上げます。
 さて、「三木先生との思いで」となりますと、たまたま、三木先生は私と同年の事もありますので、友人の「三木君との思いで」と申し上げた方が率直かと存じます。
 ところで、三木君との初めての出会いと申しますと、私が大学生であり、彼は東大のインターンの頃でした。
 それから六〜七年経過した時。私が親父の仕事から解放され上京した折でありますが、再対面の時“朋あり遠方より来る。またたのしからずや”とニッコリ笑って迎えてくれました。
 それから一〜二ヶ月して、浦和の富永半次郎先生に御紹介して頂きましたことは、私の一生における大激変と申しましても過言でないものと信じております。すなわち、禅宗に対する執念が、フッキレタことです。
 それから、私の器の小さいためかと存じますが、一進一退して今日に至っております。
 ただ残念なことは、共に人間、人生を語り合いたいと思ってきた頃、彼の死を迎えたことは私の想像を絶することでした。彼の御冥福をお祈り致します。
 後に残された御遺族の方々の御進展をお祈りする次第です。
 
(団体役員)