春のまぼろし
 
はちみつ色の夕日の中で
まいあがる光を見つめていた
青い波音が静かに音もなくゆれていた
はかなく消えてゆく春の日の中で
砂浜の貝がらをひとつずつかぞえては
君を想っていた
かがやく月の夜に
銀色の雲がながれていた
僕の心はとわにすいこまれていくようだった
満天の星空を見あげるとなぜか
全ての生命が愛おしく見えたころの夜
透明の時の中
君の記憶が
あの場所で
ただ……ただ