新年の抱負
 
日本語版
 
 
英米文学コース一年二組十二番  小阪森人
 
 
(十行=原稿用紙一枚、全二十六行)
 
 
 僕は、昨年は勉学面ではあまり向上しなかった。というのは、浪人時代あまりにも勉強漬けの毎日だったので、大学に入ってからその反動のようなものが出来したからである。確かに、大学に入って音楽をやりだして得る所は多かったが、その分、文学的な成長は、浪人中小説を読み耽っていたときに比べて、思わしくなかったように思う。勿論、音楽と文学は共通するところは多いが、やはり文学の本当の良さは文字を通じてしか味わえないものだと思う。今年はそういった意味で、音楽をやりつつも文学に親しむということをやりたいと思う。
 では実際具体的にどういう文学作品を読みたいのかというと、とりあえず娯楽小説、三文小説は読みたいと思わない。やはり、どうせ読むのであれば、純文学作品とりわけ今の自分を向上させるものを読みたい。いくら古典の名作だといっても、今の自分に合ったものでなければ、読む意味はないと思う。とりあえず古典の名作を読んでいればためになると思っている人がいるが、それは間違いだ。芸術は触れれば理解できるというものでは決してない。自分の気質や時期に合ったものを選ばないと、それは逆に害になったりすることもあり得る。
 また文学は読むだけではなく、その後にそれを吟味する事も必要だと思う。考えることをしないで文学作品に多く親しんでも、それは何の発展も産み出さないであろう。逆に、文学に精通していなくてもよく考えている人は、その逆の人よりもより文学を理解していると思う。「人間は考える葦だ」といった哲学者がいるが、実際考えることをしていない人間と話すことはつまらないものである。確かに始終考える事ばかりしていてもしょうがないが、今日思考というものからかけ離れた若者が多すぎる。怪しい宗教に騙されて悲惨な人生を送る人間も、限っていろいろと考えて自分の主張を持っていない人間である。
 また文学に親しむことは、人生について、自己について考えるきっかけを与える効果もあると思う。勿論、それは文学には限らないが、文学はそれを文字で具体的にあらわしている分、理解しやすいというメリットがある。そういった理由で、僕は今年は昨年よりもいい書物を多く読もうと思う。