哲学と科学
英米文学科英米文学コース一年 小阪森人
(一行四十字、十行=原稿用紙一枚、全十七行)
哲学と科学の違いは、簡単にいうと、主観と客観の違いと言えるかもしれない。科学は純粋に客観の学問である。それに対して哲学は、勿論客観性もひどく兼ね備えているが、科学と比較すると、より主観的な学問と言えると思う。例えば、科学は、人間の思考は全て脳によって、更にいうと、脳を構成する脳細胞、その脳細胞を構成する原子、その原子を構成する核子や中性子によって支配されている、と考える学問である。然し、哲学はそれに対し、そういう考えを導き出す根本原理となる科学の絶対的な感覚主義までをも疑い、より根本的で主観的(なぜなら、絶対的真理は主観性にこそある筈だから)なことを追求する学問である。そして、その精神を代表するものが、かの有名なデカルトの格言、「我思う、故に我あり」である。そういった意味で、科学は不完全な学問である。科学は哲学に含まれる学問なのである。